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痛みのおはなし

痛みは体に対して警告を与える重要な感覚です。 この感覚によって、今自分がどのような状態なのかを知ることが出来るのです。 とは言っても、やはり痛いというのは辛いものです。

あかりんご第一回は、歯科に関する痛みについてお話をしていきます。

虫歯の痛み

痛みと言えば、まず思い浮かぶのは、虫歯になった時のものでしょう。
甘いものを食べた時に、たまに痛む程度の軽度な虫歯も、放っておけばどんどん進行し、やがては耐えがたい程の疼痛をともなうようになります。

虫歯は、歯の一番外側を覆う固い部分“エナメル質”の表面から始まります(図1)。 表面のみの軽度なものでは、しみたり痛んだりする事はありません。 これが進行してエナメル質の下にある“象牙質”にまで達してくると、虫歯が敏感に反応するようになります(図2)。

この頃から、甘い物を食べた時に痛んだり、冷たい物がしみたりしてきます。 虫歯と気づくのはここまで来てからが多いようです。 この時点ならば、一ヶ所につき1〜2回の治療で、それほど痛みも感じることなく、治すことが出来ます

しかし、少しぐらいの痛みなら・・・と、放っておくと、虫歯はどんどん進行して行き、歯の神経“歯髄”にまで達してしまいます(図3)。 そうなると、何もしなくてもズキズキ痛むようになり、神経の治療をしなければならなくなるので、治療も一回や二回で済むものでは無くなってしまいます。そして、神経を取ってしまった歯は非常にもろくなります。 さらに進行していけば、やがてはその歯を残すことさえも困難になってしまいます(図4)。

誰でも痛いというのは嫌なものです。 定期的な検診によって、虫歯をごく初期のうちに発見できれば、ほとんど痛みを感じずに治療を終える事が出来ます。 大人であれば6ヶ月、子供であれば3ヶ月に一度くらいは、ちょっと時間を作って検診をうけてみてはいかがでしょうか。

虫歯の進行 虫歯の進行 虫歯の進行 虫歯の進行

しみる

多少感覚が違いますが、冷たい物や熱い物を食べた時などに“しみる”というのも痛みのひとつです。 
そしてかなり多くの方が、少なからず“しみる”という症状を抱えています。

“しみる”という症状には、虫歯以外にもいくつか原因があります。 知覚過敏症(図5)、くさび状欠損(図6)などがそうです。

知覚過敏症とは、年齢や体調による変化、又は歯槽膿漏などにより、歯ぐきが痩せて歯の敏感な部分が露出する事によって起こるものです。 くさび状欠損とは、噛み合わせのずれや合わない詰め物、ブラキシズム(歯ぎしり)などの原因によって、歯の生え際がくさびを打ち込んだようにえぐれてしまい、敏感な部分が露出してしまった状態です。

治療としては、知覚過敏症の場合はお薬で、くさび状欠損の場合はプラスティックの詰め物で、えぐれた部分を覆うようになります。 また、原因がブラキシズムである場合は、就寝中のブラキシズムによるダメージを軽減してしみる原因を断つために、マウスピースを作成する方法もあります。

また、虫歯の治療を行った後に、それまでしみなかった歯がしみてくるという場合があります。 これは、虫歯を取る事によって、中の神経までの厚みが減った事と、詰めた金属が熱を伝えやすいため神経を刺激してしまうことが原因です。 しかしこの場合は、個人差はありますが、長くても数ヶ月で徐々に薄らいできます。

歯磨きは普通に考える以上に難しいものです。 磨き残しによって汚れがたまれば、歯ぐきが炎症をおこし、やがては歯周病になってしまいます。 だからと言って強く磨き過ぎれば、歯や歯ぐきにダメージを与えてしまいます。 正しい歯磨きを身に着けるとよいでしょう。

しみる
しみる図5 しみる図6

噛んだ時の痛み

普通にしている時はなんとも無いのに、なにか物を噛んだ時に痛むということもあります。これについては、さまざまな原因が考えられます。

まず、表面的には小さな虫歯が、放置されて深くまで達してしまった、あるいは他の何らかの原因によって、神経が死んでしまった場合があります。

死んでしまった神経は、言わば汚れのかたまりです。 バイ菌が根の先に病巣を作り、(図7)痛みの原因となってしまいます。 そして、場合によっては、黙っていてもズキズキとと痛むようになることもあります。

このように病巣の出来てしまった歯は、まずその汚れのかたまりを取り除き、根の治療をしなければなりません。

噛むと痛い図7

神経を取る治療をした後の歯も噛んで痛むことがあります。 一言で神経を取ると言っても、植物の根っこのように、スポっと取れるわけではありません。 根の先端で神経を切断して取るのです。 ですから、切断した部分がうずいたり、力を加えると痛むと言うことが良く見られます。 このような場合は、根の中に入れるお薬で症状を鎮めて行きます。

また、歯槽膿漏によっグラグラになった歯は、支えが無くなるために、噛んだ時に加わる力を負担しきれないため、やはり噛んだ時に痛むという症状になってしまいます。

入れ歯の痛み

噛んだ時の痛みについては、入れ歯が原因となる場合もあります。 その多くは、入れ歯のふちの歯ぐきが動く部分や、骨のとがっている部分でおこります。

入れ歯は型を取って、そこに石膏を流して作った模型の上で作製します。 精密な型を取ったとしても、常に動いている口の中の止まっている時でしかありません。 実際の口の中で柔らかく動く部分や、歯ぐきの薄い部分がわかりにくくなってしまいます。 そのため入れ歯を作った後、実際に使って見てからの調整が、必ずと言っていいほど必要になります。

入れ歯による違和感は、時間とともに慣れて行きますし、それとともに、徐々に訓練して行けば、しっかりと噛めるようになります。 ただ、痛みは慣れるものではありませんし、時間がたつと傷になってしまったり、長い間放っておくと、腫瘍のようなものが出来てしまうこともあります。

力が集中する
入歯を削る

もし、入れ歯が当たって痛い時は、すぐに調整をするとよいです。 最初は思うように噛めなかったり、噛むと痛みがあったりしても、時間をかけて調整しながら慣らしてゆけば、やがては当たるところも無くなり、自分の歯に近い感覚で、噛むことが出来るでしょう。

お口の中は常に動いています。 ぴったりと合った入れ歯でも、時間が経過するとともに、少しずつ合わなくなってきますし、お口の中の状況が変われば、当たるところも出てきます。 痛みや違和感を感じたら、調整を受けてみるとよいでしょう。

親知らずの痛み

 

虫歯になっている様子がないのに、奥歯に重くズキズキとした痛みが出たら、親知らずが原因の可能性があります。 親知らずは、歯ブラシが届きにくい位置にあるため、他の歯よりも衛生状態が悪くなりやすい傾向にあります。 特に、歯が完全に生えていなかったり、横を向いて生えてしまったために隣の歯に遮られて、中途半端に顔を出してしまった場合などは、食べかすが周囲の歯肉や手前の歯との隙間に入り込みやすくなり、不衛生な状態になります。

親知らずが正常に生えていない状態では、不衛生な部分に歯ブラシが届かないため、衛生状態の改善が困難になります。 このように親知らずの周囲が不潔になることで、細菌に感染して炎症を起こした状態を智歯周囲炎と言います。 初期症状は歯肉の周囲の腫れや軽い痛みのみですが、症状が進むと歯肉から膿が出たり、口が開かないほどあごの下や頬が腫れてきて、激しい痛みを伴います。 この状態を放っておくと、更に重い病気を続発する場合があるので、早めに歯科医院を受診しましょう。

智歯周囲炎になってしまった場合は、まず炎症のある部分を消毒して周囲の衛生状態を改善し、抗生物質などのお薬を飲むことで、炎症を抑えます。 炎症が治まれば痛みも無くなりますので、ひとまず安心できます。 しかし、こういった処置はあくまでも一次的なものですので、衛生状態が悪くなればまた炎症が起き、痛みも出てきてしまいます。

特に、途中で隣の歯にひっかかって止まってしまっている場合や、横や斜めを向いて生えている場合は、衛生状態が悪化しやすいので再発の可能性が非常に高くなります。 このような場合は、歯としての噛むという機能も果たしておりませんので、抜歯することをお勧めします。

親知らずの抜歯、特に埋伏歯(埋まっている歯)の抜歯は、大きな痛みを伴います。 下顎の水平埋伏歯であれば、抜歯後一週間以上も痛みが続く場合もあります。 しかし、親知らずがある事で、何度も炎症による痛みに悩まされる可能性がありますし、隣の歯が虫歯になるリスクも高くなります。 根本的に痛みの元を断つには、抜歯するのが良いでしょう。

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